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お墓、葬儀、供養のほんとうの意味

そのお墓、本当に「国産」と呼べますか? お墓の国産表記を考える

      2016/08/05

こんにちは。十村井満です。


終活読本 ソナエ vol.13 2016年夏号 (NIKKO MOOK)

こちらに記事を寄稿させてもらいました。
テーマは「お墓の国産表記」についてなんですが、
編集部を通過すると記事がマイルドになっちゃいますね。
それなりにエッジの利いた記事を書いたつもりなんですけどねー。
今日は、そのマイルドになってしまった部分も含めて、
お墓の「国産」について、考えます。

国産に求めるものは「安心感」や「信頼感」

さあ、お墓を建てるぞ!
となって、多くの消費者が考えることは、
「石は国産にしようか。外国産にしようか」
ということです。

国産は高い。外国産は安い。
たしかにこの図式は間違ってません。
一部、外国産でも高価なものはありますが、
相対的には国産の方が高いと言えるでしょう。

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「高くてもいいものを」
こう願う消費者が望むものは「安心感」や「信頼感」です。
では、その安心や信頼とは何なのか、と考えるといろいろなことが思い浮かびますが、
おそらく一連のチャイナリスクなどが絡まない
日本人の日本人による日本人のためのお墓を望んでいるのではないでしょうか。

日本人は国産が好きな民族ですが、
自民族の仕事に対する誇りや信頼が根底にあるのだと思います。

値段が高くても国産でお墓を建てる人は多くいます。

でも、
そのお墓、
本当に国産ですか?
その石は、どこで採れて、どこで加工されてますか?

お墓 国産 ひそひそ

知ってます?
次の2つは、どちらも「国産表記」がOKだそうです。

1)国内産出+国内加工
2)国内産出+中国加工

しかも、中国加工の方がコストは安い。
その上、どっちも「国産」OK。
安い価格で国産を売った方が、響きもよくて、よく売れる。
だったら、加工地については黙っておけ!

・・・というのが石材店側の本音でしょう。はあ。。。

さあ、では実態に迫ってまいります。

石をわざわざ中国まで運ぶ理由

日本で採れた石をわざわざ中国まで運んで、逆輸入するというのは、墓石業界ではよくある話しです。
でもそれって、きっと消費者レベルには伝わってない情報ですよね。
石って、めちゃめちゃ重いです。
なぜ、そんなめちゃめちゃ重い石をわざわざ中国まで運ぶのでしょうか?

運搬費も要ります。
関税もかけられます。
余計なコストまでかけて中国まで運ぶ理由はいくつかあります。

※はじめに頭に入れておいていただきたいのは、墓石の流通経路です。

【採石業者】→【加工業者】→【小売店】
これらの仲介役になる【問屋】

まずこの図式を頭に入れておいてくださいね。

1)採石業者の都合 中国の業者は大量に石を買い取ってくれる

石は山から切り出すのですが、
切り出した石すべてが製品になるわけではありません。
天然のものですから、キズがあったり、サビがあったり、
これは石にもよりますが
100あるうちの50は捨てなければならない、というのは日常茶飯事です。
日本人は品質に厳しいですから、
少しでもキズ物があればすぐに返品してきます。
採石業者としては、返品分は製品に(つまりお金に)ならないし、
処分にもお金がかかってしまう。
ところが、中国の業者は、キズ物も含めてまとめて買い取ってくれます。
しかも大量にまとめ買いしてくれるので、採石業者としては格好の卸先なのです。

大島 丁場

2)中国の加工業者の都合 キズ物も製品化して金に換える

中国側では、大量買い取りの中にキズ物の石材があったとしても、
それをむりやり製品化します。

薬品を使ったり、色付けしたり、ワックスを使ってつや出ししたり
石材の天然の素材なんてあったもんではありません。
劣悪品を返品しないということは、
それも製品にする、ということなのです。
当初は新品できれいなお墓も、
そもそも石材に負荷のかかる加工をしている場合には
日が経つとすぐにボロが出てしまうでしょう。

石材 割石

3)小売店の都合 国産を安く売って客を囲い込みたい

大島石は、西日本の銘石です。
同じ形の大島石が、かたや80万円、かたや150万円。
この違いはどこから来るのでしょうか。
ここまで記事を読んでくださった方なら分かりますよね。
大島石を国内の職人で加工するのと、中国で加工するのでは、
精度が全然異なるのです。
中国を経由する方法では、とても丁寧に、丹念に、とはいいがたい加工が施されています。
でも、どちらともを同じ「国産大島石」と謳ってもいいわけです。
お墓もネットで相見積もりする時代です。
石材店は「いい石を安く」提供することで、
目の前の客が他に流れないようにしたいわけです。

寺院墓地

国産表記についてのガイドラインがない!?

石材の業界団体や石材店に訊ねると、
国産表記の規約どころか、ガイドラインすらないとのこと。

まじか!?

ちなみに仏壇業界ですら経済産業省からの指導により、
2012年に「仏壇の表示に関する公正競争規約」を告示し、
「仏壇公正取引協議会」を設立している。

何をしている、石材業界!!

情報開示の意識が時代遅れなのですねこの業界は。
ああ、これでは墓離れはどんどん進んでいきますわ。

問題は、情報開示しない小売店だ!

お墓における国産表記の問題は、
そもそも業界の構造に問題があるのですが、
エンドユーザーたる消費者から見た場合、
やっぱり小売店が許せないですよね。

だって、採石業者がどこに石を卸そうか、それは業者の自由だし、
中国の加工業者が日本の石を仕入れたって、何ら構わない。
(インド、アフリカ、ヨーロッパなど世界中の石が中国に集められて加工されています)
薬品、色付けなどの処理も、
消費者の要望に応えるためのコスト削減の方法ならば、決してNGとは言えないですよね。
問題は、小売店です。
小売店がきちんとした情報を顧客に伝えないことが問題なのです。

大島石が80万円から150万円するには理由があるわけです。

「中国で加工しているから安いんですよ。その代り、色付けとか、サビ抜きとかしてるかもしれないんで、リスク有りますよ」
「日本人の職人が加工しているから、どうしても高くなるんです」

こういう正確な情報を伝えないことが、一番の罪悪ではないでしょうか。

本当に純国産にこだわる人もいれば、
国産にしたいけど安く抑えたいから中国加工でもいい、という人もいるでしょう。

十村井は、
国産、中国産の是非は問いません。
国内加工、中国加工の是非も問いません。
「国産は、日本の石を日本の工場で加工している」と思い込んでいる消費者を
逆手にとって商売している石材店の非を、断固許しません。

国産を望む人が求めるものは安心感や、信頼感です。
安心や信頼で成り立つのが商売なのに、
それを裏切るような石材業界であるならば、
お墓文化の衰退もやむを得ないですね。悔しいけれど。

そして最後に・・・
十村井もお墓の小売りしています。
私もいっぱい罪悪を犯してきました。
これからは正確な情報をお客様にお伝えしていきます。
申し訳ありませんでした!

今日もここまで読んでいただいて、ありがとうございます。

消費者の対策は簡単です。
「このお墓、どこで加工されてますか?」と聞くだけです。
すばやく、よどみなく正確なことを言う石屋さんは
多分、間違いないでしょう。

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